平成17年9月の台風14号災害を被ってしまった診療所。
床上1.5mの浸水被害があったそうだ。
まずは災害前現状復旧ということで始まったらしいこの工事。
「この際だから動線的に気になってた部分を少し変更しようか・・・・」というくらいの乗りで現場スタッフが検討。
その後、「やはり専門の建築士に相談しようかな。」という事で、建築士探し。その上である医療関係の業者さんが岩野事務所を薦めてくれたそうで、災害から3週間ほど経ったある日に初めて私が診療所を訪問。私が最初に診療所を見たときの感想。「俺の仕事ないじゃん・・・・」
なにしろまだ建物が新しい。そして災害復旧工事は既に進行している状態(underconstraction 左2枚の写真の状態)。そして西園院長と初めて面会。
「工事は既に始まっているが、一時中断して今までのプランを一から考え直しても良いと思っている。工事は年内に完了すれば良い。」という思いきった決断を聞き、「じゃぁ、とりあえず前の図面見て考えてみます」って感じでプロジェクト開始。
ただ、たぶん院長はこの後、「まさか、外壁と柱以外全部撤去して(underconstraction 右2枚の写真の状態)まで変更するとは・・・・」と思ったかもしれない。正直自分は院長面会後初めて前の図面を見た瞬間に「やるんだったら、これは大掛りな改修になるな・・・」と思った。大規模改修を許していただいた院長に感謝。あ、設計料がいっぱい欲しくて大規模改修にしたんじゃないですよ。設計料は災害復興支援の意味も込めてものすごく良心的な金額で引き受けましたんで。院長が後で「設計料安すぎるんじゃないですか・・・」って言ってくれるくらい。そして約1ヶ月の設計・打合期間を経て11月に工事再開。
ところが工事再開の初期。水廻り変更に伴い、一部土間コンクリートを解体した時点で大きな問題が発生。・・・・・・・・
今回工事の設計・施工に関わる問題ではない部分での大きな問題が発覚。
今はまだその詳細を書くことは出来ない。今だ進行中。今回は自分の問題ではないが設計者として現場監理の責任というものを深く痛感。で、再び工事を中断し院長と共に弁護士事務所に通う事数回。
結局、問題が長引きそうだったので半ば強行に土間コンクリートの全てを解体した上で再施工。越年して2006年の1月から本来の改修工事再開。これ以上、診療休止による被害を拡大できないという判断からだった。
そして1ヶ月半の工事期間を経て完成。
改修(変更)のポイントは患者の待合→処置→診察・検査→会計・投薬待ち 動線の簡略化と適性スペースの確保、そしてスタッフ動線・カルテ動線の効率化にあった。それを決められた外壁の枠内で収めきる事。
特に気を配ったのは、外形が正方形に近いものであったので、如何にすれば各所に光を導入出切るか、という点にあった。その観点から仕上材の配色にも気を配った。
どう処理したか、については敢えて書かない事にする。自分が書いても所詮自慰行為だから。
患者さんやスタッフの方々が感じて判断する事だと思うので。
とりあえず、不測の事態もあり予定を2ヶ月過ぎて完成。院長はじめスタッフの方々、そしてこの診療所を訪れる患者さん達が「なんか少し良いよね。」って思ってくださる事を願う次第である。